「家族仲が良い」と感じている小中学生は9割以上
2024年11月5日
公益財団法人 博報堂教育財団こども研究所
公益財団法人 博報堂教育財団の調査研究機関 こども研究所では、全国の小学4年生~中学3年生を対象に、子どもをとりまくさまざまなトピックスについて、子どもたち自身がどう感じ、考えているのかを明らかにすることを目的とした調査を実施しています。毎年11月第3日曜日は「家族の日」。そこで今回は「家族」をテーマに調査しました。忙しい日常の中で家族全員が一緒に過ごす機会は限られていながらも、たとえばデジタルツールでのコミュニケーションや母と娘でみれば「推し活」を一緒にするなどの親子行動を通じて、家族との間で仲の良い関係性を築いていることが、子どもたちの視点を通して見えてきました。
「家族仲が良い」と感じている小中学生は9割以上。
家族内の役割分担がシームレス化。お父さんもお母さんもマルチプレイヤー。
家族全員がそろう限られた機会は「休日の夕ごはん」7割。
ふだんの会話内容はお父さん・お母さんともに、1位「学校」2位「友達」のこと。
小学生は家族と「同じ時間・場所」の共有、中学生は「精神的な支え」が大事。
約7割が「もっと、家族と話したい」「もっと、家族の役に立ちたい」。
「家族仲が良い」 と感じている小中学生は9割以上。
家族の仲の良さを聞いたところ「仲が良い計」が9割を超えました。特に小学生では約半数が「とても仲が良い(48.7%)」と回答し、家族仲の良さがわかります。
中学生は小学生に比べて「とても仲が良い」のスコアが約半減しますが、TOP2計*でみると7割以上が「仲が良い(74.7%)」と感じていました。 *(とても仲が良い+まあ仲がよい計)
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家族内の役割分担がシームレス化。お父さんもお母さんもマルチプレイヤー。
家族内の役割では、お父さんは「お金をかせぐ人」が最も高く87.0% 。続いて「自分のことを応援」「困った時に助けてくれる」「ほめる人」「いっしょにお出かけする人」「注意する人」など精神的支えに関する役割が約7割。また家族の世話や家事も4割を超えるスコアで、家事にも関わるお父さんの姿がうかがえます。
お母さんは「ごはんを作る人(90.8%)」が最も多く、2位、3位はお父さんと変わらず「自分のことを応援してくれる人(89.0%)」、「こまったときに助けてくれる人(88.7%)」でした。またお母さんはそれ以外にも家事全般や相談相手など多くの項目でスコアが8割を超える結果となりました。
子ども自身は「家族をもり上げる人(43.2%)」「そうじやかたづけをする人(24.0%)」と自認。家族それぞれが協力しながら、自分にできる役割を果たそうとする様子がうかがえました。
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家族全員がそろう限られた機会は「休日の夕ごはん」7割。
ふだんの生活行動の「家族全員でいっしょにしている」ことで半数を超えたのは「学校のない休日の夕ごはんを食べる(69.2%)」のみでした。 「平日の朝ごはん」「平日の夕ご飯」「休日の朝ごはん」では、「一部の家族といっしょ」が「家族全員でいっしょ」を超えました。
両親の仕事、子どもの学校や習い事などの忙しい日常の中で、家族全員が一緒に過ごせる機会が限られているのかもしれません。
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小中学生のスマホ所持者6割強が「メッセージアプリで家族と連絡を取り合う」
情報端末の所持について聞いたところ、スマートフォンの所持率は全体で65.2%。小学生では45.7%、中学生では84.7%。今回の調査ではスマートフォンの所持率がキッズ携帯を上回りました。
スマートフォン所持者のうち、6割強が「メッセージアプリで個別に連絡を取り合う(58.6%)」、約半数が「メッセージアプリで家族と写真をシェアし合う(49.9%)」と回答。スマートフォンなどの情報端末を介して、家族間コミュニケーションが行われている様子が分かりました。
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ふだんの会話内容はお父さん・お母さんともに1位「学校」、2位「友達」のこと。
ふだんの会話内容は、全体でみると、お父さん、お母さんともに1位「学校であったこと」2位「自分の友達のこと」。3位は、お父さんでは「家族の予定やおでかけ先のこと(47.9%)」、お母さんでは「学校の先生のこと(67.1%)」でした。学校や友達の他にも、勉強や習い事、部活やクラブ活動、自分の趣味など、多岐にわたる内容で会話していることが分かりました。
お父さんと話すことを男女別でみると、男子は「自分の友達のこと(54.9%)」や「テレビや新聞で知ったニュースや出来ごと(46.3%)」、女子は「家族の予定やお出かけ先のこと(50.8%)」について話す傾向がありました。
お母さんと話すことを男女別でみると、総じて女子の方が話す内容のバリエーションが多く、「自分のファッションや髪型のこと(58.7%)」「自分の好きなアイドルやアニメなどのこと(47.5%)」「自分の顔やからだのこと(46.0%)」が、特に高いスコアとなりました。
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「ゲームやスポーツ」をお父さんと、「推し活」などの「嗜好や楽しみ」をお母さんと共有。
ふだんお父さん・お母さんといっしょにしていることを聞いたところ、お母さんよりもお父さんといっしょにすることが多い行動TOP3は「スポーツをする(父-母差分+19.4pt)」「ゲームをする(父-母差分+13.8pt)」「スポーツの試合を観に行く(父-母差分+8.7pt)」。
またお父さんよりもお母さんといっしょにすることが多い行動TOP3は「料理やスイーツをつくる(母-父差分+34.4pt)」「美容院・床屋さんに行く母-父差分+23.0pt)」「好きな音楽やドラマを教え合う(母-父差分+18.1pt)」でした。
男女別でみると、男の子はお父さん、お母さんいずれとも、全体と同じ傾向であるのに対し、 女の子とお母さんのペア行動は特徴的。「カフェでお茶をする(38.8%)」「洋服をかしたりかりたりする(23.6%)」「メイク・スキンケア用品をかしたりかりたりする(27.9%)」「好きなアイドルやアーティストなどを応援(推し活)する(18.5%)」など、お母さんと女子の嗜好や楽しみを共有する関係性がうかがえました。
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家族といると「安心する・ほっとする」「ありのままでいられる」。
家族といる時の気持ちは、全体で、「安心する、ほっとする(65.5%)」が最も高いスコア。続いて「ありのままでいられる(54.7%)」「楽しい・笑顔になれる(51.7%)」となりました。
属性別でみると、中学生では「何も考えなくていい(50.3%)」が3位にランクイン。小学生と比較して「楽しい・笑顔になれる」はその差は-17.3ptと5位に下がるものの、家族といる時間は自然体でいられる時間なのかもしれません。
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小学生は家族と「同じ時間・場所」の共有、中学生は「精神的な支え」が大事。
「家族にとって大事だ」と子どもが感じることでは「いっしょに住む(64.3%)」「いっしょにごはんを食べる(62.5%)」という「同じ時間・場所」の共有が上がるとともに、「どんなときでも味方になってくれる(62.7%)」「こまったときに助けあえる(61.8%)」「いっしょに楽しい時間を過ごせる(61.5%)」など「精神的な支え」に関する項目も6割以上で拮抗しています。
属性別では、小学生では相対的に「同じ時間・場所」を共有することの重要度が高いのに対し、中学生になると逆転し「こまったときに助けあえる」「どんなときでも味方になってくれる」など「精神的な支え」の重要度が高まることがわかりました。
保護者にも同じ質問をしたところ、「一緒にごはんを食べる(69.0%)」「一緒に楽しい時間を過ごせる(64.8%)」が上位2項目として6割を超え、「同じ時間・場所」を共有することをより重視する傾向が見られました。
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約7割が「もっと、家族と話したい」「もっと、家族の役に立ちたい」
全体でみると、「もっと、家族と話したい」がTOP2*で73.8%、「もっと、家族といっしょにいたい」がTOP2*で69.8%でした。
一方で「もっと、家族の役に立ちたい」がTOP2*で68.5%となっており、子どもたちも、家族の一員として貢献したいという気持ちを持っていることがわかりました。 *(そう思う+ややそう思う計)
属性別でみると、学年があがるにつれいずれも低下していく傾向が見られ、中学3年生のスコアは小学4年生に比べて「もっと、家族と話したい」が27pt、「もっと、家族といっしょにいたい」が35pt低下。一方で「もっと、家族の役に立ちたい」も低下傾向は変わりませんが、その下がり幅は19ptにとどまっており、他2項目に比べてゆるやかになっています。
保護者にも同じ質問をしたところ、「もっと、家族と話したい(81.2%)」「もっと、家族といっしょにいたい(75.0%)」「もっと、家族の役に立ちたい(74.5%)」で、いずれも子どもよりも高いスコアとなっていました。
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多くが家族の存在や支えを当たり前と思わず、ありがたみを実感。
家族に対して「ありがたいなぁ」「うれしいなぁ」と感じた出来事や「腹がたつ!」「ムカつく!」と思った出来事についても聞いてみました。
家族の存在を「ありがたい」と感じた出来事として挙げられたのは、食事や送迎といった普段の何気ないシーンから、頑張った自分を褒めてくれた思い出、進路や友達関係などで悩みを抱えてくれる時に寄り添ってくれた時間など、多岐にわたりました。大小あれど「良い時には誰よりも褒めてくれ、悪い時は味方となり寄り添ってくれる」家族の存在にありがたさを実感していました。
家族の存在を「腹がたつ!」と感じた出来事として挙げられたのは、兄弟喧嘩等で理不尽なことで注意されたと感じた瞬間や、話をきちんと聞いてもらえず決めつけられたときなど、踏み込んでほしくないところを察してもらえなかったとき、親の機嫌に振り回されていると感じるときなどが挙げられ、「自分の立場や意見を尊重してもらえなかったと感じる気持ち」が、家族に対してのネガティブな感情につながっている様子がみられました。
総じて「家族の存在」そのものが子どもたちの強い安心感となり、それを当たり前と捉えずに、真っ直ぐに感謝する子どもたちの姿がみられました。
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