2024年9月30日
積水ハウス株式会社
積水ハウス株式会社(以下、当社)は、当社が住宅技術の研究開発を行う「総合住宅研究所」※1及び、隣接する住まいの体験型ミュージアム「Tomorrow’s Life Museum関西」※2(京都府木津川市)において、2024年9月27日に、環境省から「民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域」として「令和6年度 自然共生サイト(前期)」の認定評価を取得しました。これは、環境省が2023年度から開始した「
自然共生サイト」認定制度で、当社が野村不動産株式会社、ダイハツディーゼル新梅田シティ株式会社、ウェスティンホテル大阪と保有・管理する企業緑地の「新・里山」に続き2つ目の認定となります。
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https://kyodonewsprwire.jp/img/202409277186-O1-4DPp8Gp8】
2022年12月に生物多様性条約第15 回締約国会議(CBD-COP15)において、2030年までの新たな世界目標である「昆明・モントリオール生物多様性枠組」が採択されました。この中で、2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする目標(30by30目標)が盛り込まれました。環境省では、世界目標達成に向けて「自然共生サイト」認定制度を2023年度から開始しました。
「自然共生サイト」とは、国が自然環境を保護する国立公園等の場所以外でも、事業者や民間団体、個人、地方公共団体が管理している生物多様性の価値を有する自然豊かな場所を「民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域」として環境省が認定し、保全する取り組みです。認定区域は、保護地域との重複を除き、「OECM※3(Other Effective area-based Conservation Measures:保護地域以外で生物多様性保全に資する区域)」として国際データベースに登録されます。
「令和6年度 自然共生サイト(前期)」の認定評価を取得した当社の住宅技術を研究、開発を行う「総合住宅研究所」には、樹林・草地・水辺のエリアがあり、生態系に配慮した造園緑化事業「5本の樹」計画※4による地域の在来種を中心とした多種多様な植物を育成しています。また、隣接する住まいの体験型のミュージアム「Tomorrow’s Life Museum関西」においては、「5本の樹」計画に基づいた植栽計画を実践したモデルハウスを設けることで、お客様に知っていただく場を提供しています。メンテナンスとして「現状を維持する管理」ではなく、「緑地が成長し続ける中で生態系ネットワークが豊かになることを手助けする管理」を行っている他、当該サイトで環境教育活動も行っています。今回の評価において、「5本の樹」計画による実践モデルであり、都市の小規模な緑地の生物多様性保全への貢献等、都市緑化の新たな可能性を感じさせる取り組みであることや、周辺の木津川など草原的環境に生息する多様な動植物の一部が、当該サイトでも多く見られる傾向などから認定評価をいただきました。
「自然共生サイト」認定によって、当該サイトの生物多様性の価値の維持、質の向上が促進され、日本における30by30目標の達成に貢献するとともに、生物多様性の保全にポジティブな効果を波及していくことが期待されます。また、近年事業活動が自然環境に及ぼす影響や生物多様性の保全への貢献などは投資家の判断材料にもなり、そうした情報の開示などを行う仕組みも整備されているため、企業価値の向上にもつながります。
積水ハウスは “「わが家」を世界一幸せな場所にする”というグローバルビジョンのもと、「5本の樹」計画の更なる推進に努め、ネイチャー・ポジティブの実現に貢献してまいります。
※1総合住宅研究所 について
積水ハウスでは常に時代を先取りし、お客さまの満足度を高めてゆくため、先進の研究施設でさまざまな開発を行っています。「総合住宅研究所」は住宅に関連する最先端の技術や生活者の暮らしに関わる研究など、幅広い研究・開発活動を行っている施設です。大地震時における安全性や、部材レベルから確認する耐久性、健康・快適な居住環境、人間工学実験で確かめるユニバーサルデザインなど、住まいに必要な技術開発が行っています。
総合住宅研究所
https://www.sekisuihouse.co.jp/company/rd/institute/※2Tomorrow’s Life Museum 関西について
「Tomorrow’s Life Museum(トゥモローズ ライフ ミュージアム)」は、東北(宮城県)、関東(茨城県)、静岡、関西(京都府)、山口と全国5ヵ所にある、完全予約制の住まいの体験型ミュージアムです。ライフスタイル提案型モデルハウスや、積水ハウスの先進の技術展示をはじめ、建てた後では見ることのできない壁の中の構造の特長や工夫など、安全・安心、快適、幸せな住まいづくりの秘密をご紹介しています。
Tomorrow’s Life Museum 関西
https://www.sekisuihouse.co.jp/tlm/kansai/※3OECMについて
”Other Effective area-based Conservation Measures”の略称で、法的根拠のある公的な保護区とは異なる“代替的な保護区施策”のことを意味します。国立公園のように、国が主導して国有地に設置する公的保護区は、保全専用の土地を確保するランドスペアリング型の保全と呼ばれます。しかし、国土の30%以上を保護区にしようとすると、国有地だけでなく民有地も関係してくるので、保全に特化した土地利用や私権制限は実現性がありません。例えば、林地や農地を放棄して保護区にすることや、都市部の私有地を接収して保護区にすることは現実的ではありません。そのため、保全と様々な土地・海域利用との共用を図るランドシェアリング型の保全が注目されています。例えば、以下のような、土地・海域利用において、その土地の生物多様性の保全も含めて、多目的な使用を促すような考え方です。
・農地で農業生産を行いつつ、同時に副次的に、農地や周辺里山で生物多様性の保全維持が伴う。
・林地で木材生産を行いつつ、同時に副次的に、森林の生物多様性の保全維持が伴う。
・沿岸域で漁業を行いつつ、同時に副次的に、海域の生物多様性の保全維持が伴う。
・都市で経済活動を行いつつ、同時に副次的に、都市緑地の生物多様性の保全再生も行う。
※4「5本の樹」計画について
積水ハウスが2001 年から生物多様性保全の取り組みとして、お客様のご協力のもと、生態系に配慮した造園緑化事業として開始したプロジェクトです。“3本は鳥のために、2本は蝶のために”という思いを込め、日本古来の里山をお手本として、その地域の気候風土にあった在来樹種を中心とした庭づくり・まちづくりを提案しています。2001年の事業開始からの累積植栽本数は2,000万本を達成。2021年には、生物多様性保全効果の実効性を、樹木本数・樹種・位置データと生態系に関するビッグデータを用いて、世界で初めて都市の生物多様性の定量評価の仕組みを構築し、「
ネイチャー・ポジティブ方法論」として公開しました。