iPS細胞を使った人工血小板を連続製造するシステムの確立と実用化を目指して
2024年9月12日
佐竹マルチミクス株式会社
佐竹マルチミクス株式会社(本社:埼玉県戸田市、代表取締役社長:西岡光利)は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「経済安全保障重要技術育成プログラム/有事に備えた止血製剤製造技術の開発・実証」において、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)を中心に、キヤノン株式会社、Minaris Regenerative Medicine株式会社、東京慈恵会医科大学、千葉大学、山梨大学とのコンソーシアムを形成し「高品質人工血小板の連続製造システムの研究開発とその実用化」を提案、この度実施予定先として採択されました。
NEDO プログラム実施体制の決定について
https://www.nedo.go.jp/koubo/EF3_100217.html【はじめに】
感染症の流行や地震などの突発的な有事の際に、外傷を被った被災者のための輸血が不可欠となりますが、現状の血液製剤は献血由来であり、少子高齢化が進む中、安定した血液製剤の供給は今後の我が国の中長期的な課題となっています。本事業(図1)は、自律的に止血機能を持つ血小板製剤を供給することができる社会インフラを構築することを目的とします。社会実装を念頭に各研究開発機関で取組み、ほぼ全ての患者に輸血可能なユニバーサルな血小板の開発を目指します。
【画像:
https://kyodonewsprwire.jp/img/202409116259-O4-wuYZG59m】
図1 事業概要
【技術提案内容】
当社は、高効率生産プロセスの開発に不可欠な「高効率スケールアップバイオリアクター開発とGMP化」の開発課題に取り組みます。
ⅰ)iPS細胞由来血小板の安定大量生産:シングルユースバイオリアクター/シングルユースバッグの実用化
ⅱ)高効率での人工血小板製造に必須と想定される多機能連続培養システムの実用化
ⅲ)治験生産に向けたバリデーションの実施
ⅳ)本申請内容の実現に向けた新規開発・システム構築
現在までのスケールアップ研究および治験において、スケールに応じて乱流刺激を強く設定する必要がありました。その結果、1巨核球当たりの血小板産生効率が半減しており、その原因を把握する為に詳細なCFDシミュレーションを繰り返し、培養槽内に生産に寄与しない乱流低下領域が30%存在することが明らかになりました(図2 左)。この問題を解決し、スケールアップしても生産効率が低下しない新型の専用バイオリアクター(図2 右)を開発しました。
【画像:
https://kyodonewsprwire.jp/img/202409116259-O2-6JOpdr7R】
また、「還流培養装置開発と最適化」においては、バイオリアクターと連続培養装置(‘CSSⅡパーフュージョンシステム‘)を組み合わせた完全密閉型のシングルユース連続培養システムが不可欠となるため、CiRAと協力してバイオリアクターと還流システムと組み合わせた次世代シングルユース連続生産システムの確立を目指します。
さらに、低コスト化を目的とした次々世代技術開発も進めており、1つのバイオリアクターで巨核球培養工程と、血小板生産を同時にかつ連続的に生産可能なシングルユースバイオリアクターの確立も目指します。
<コンソーシアムリンク先>
京都大学(CiRAおよび医学部付属病院)
https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/キヤノン株式会社
https://global.canon/ja/Minaris Regenerative Medicine株式会社
https://www.rm.minaris.com/ja/東京慈恵会医科大学
https://www.jikei.ac.jp/university/千葉大学
https://www.chiba-u.ac.jp/山梨大学
https://www.yamanashi.ac.jp/<事業概要>
事業名: 経済安全保障重要技術育成プログラム/有事に備えた止血製剤製造技術の開発・実証
研究開発テーマ名: 高品質人工血小板の連続製造システムの研究開発とその実用化
実施体制: 京都大学(CiRAおよび医学部付属病院)
キヤノン株式会社
佐竹マルチミクス株式会社
Minaris Regenerative Medicine株式会社
東京慈恵会医科大学
千葉大学
山梨大学
研究機関: 2024年度~2028年度の予定
事業規模: 50億円