高耐熱を実現するポストネオジム磁石として、EV用などの高効率モーターへの展開に期待
Niterraグループ 日本特殊陶業株式会社(以下「日本特殊陶業」という)と国立研究開発法人 産業技術総合研究所(以下「産総研」という)は「日本特殊陶業-産総研カーボンニュートラル先進無機材料連携研究ラボ」において、新規焼結助剤を用いることでサマリウム-鉄-窒素(Sm2Fe17N3)系焼結磁石を高密度化および高性能化できる技術を開発しました。
【ポイント】
・ ポストネオジム磁石候補であるSm2Fe17N3焼結磁石を高密度化する新しい焼結助剤を開発
・ 新規焼結助剤と磁石合成プロセスの開発により高性能なSm2Fe17N3永久磁石の作製に成功
・ 高耐熱で資源リスクが低いという利点を生かし、耐熱性が要求される電気自動車などの高効率モーターへの展開に期待
【画像:
https://kyodonewsprwire.jp/img/202409055951-O1-4zdoM0G6】
概要
Sm2Fe17N3磁石は高い磁石特性を示し、かつネオジム-鉄-ホウ素(Nd-Fe-B)磁石を上回る耐熱性を示すことから、ポストNd-Fe-B磁石として期待されています。一方、磁石性能を向上させるためには高温焼結で高密度の微構造組織を形成する必要がありますが、Sm2Fe17N3は比較的低温で分解するために、高密度化が困難でした。これまで、融点の低い(420 ℃)亜鉛(Zn)を焼結助剤に用いて低温で焼結する手法などが検討されてきたものの、高密度化しても重要な性能指標である磁化が下がってしまうという問題がありました。本研究では、Sm2Fe17N3磁石で磁化を下げずに緻密化効果を得るために、焼結助剤として周期表第二族に属する元素(マグネシウム、カルシウムなど)を含有する合金を開発しました。これにより、磁化低下を最小限に抑えながらSm2Fe17N3磁石を高密度化できるようになり、将来的に耐熱性が要求される電気自動車などのモーター用磁石への展開が期待されます。
なお、この成果は2024年9月19日に大阪大学豊中キャンパスで開催される日本金属学会秋期講演大会で発表されます。また、2024年10月11日に名古屋市で開催される産総研中部センターおよび株式会社AIST Solutions主催の「未来モビリティ材料」共創フェアにて発表を行います。
※本プレスリリースでは、化学式や単位記号の上付き・下付き文字を、通常の文字と同じ大きさで表記しております。
正式な表記でご覧になりたい方は、産総研WEBページ(下記)をご覧ください。
プレスリリースの詳細はこちら
https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2024/pr20240910/pr20240910.html