女優の名取裕子参加による初日前日の内覧会レポート
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昭和の映画史、日本映画史に輝かしい足跡を残した女優・高峰秀子。今年は彼女の生誕100年の節目であり、それを記念して今年から来年初頭にかけて上映会や講演会、さまざまな展示会、展覧会などのイベントが企画されている。そのプロジェクト上半期のメインイベントと言える、生誕100年記念 東京タワー大特別展「逆境を乗り越えた大女優 高峰秀子の美学」が遂に本日3月28日(木)から開幕。前日にはメディアや関係者を集めた内覧会が行われた。
内覧会レポート
内覧会の会場には、プロジェクトのサポーターで女優の名取裕子と、養女であり文筆家の斎藤明美が高峰秀子の愛車ジャガーで登場。名取裕子はまず写真撮影に応じると、続いて会場内のさまざまな展示物や映像を、斎藤の解説を聞きながらひとつひとつ観覧していく。けして綺麗ごとだけではなかった彼女の生い立ちが年齢ごとにまとめられ、そのときの彼女の心情などを本人の著作から抜き出して掲出した壁面パネル。出演作のダイジェスト映像や、骨董品好きとしても名高かった愛蔵品や実際に彼女が使用していた名作映画の台本の数々、そこにいたずら書きのように書かれたイラスト。奥には自宅居間一の部を再現したコーナーや彼女が愛用したバッグ、愛した家財道具などが展示されている。一緒に暮らしていた斎藤明美からの解説をひとつひとつ聞きながら、名取も大いに感銘を受けている様子だった。
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斎藤明美(左)名取裕子(右)
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この大特別展は、戦前から戦後中期まで実力派トップスターとして活躍した高峰秀子という映画人の足跡や、女性として、人として彼女が何を大事にし、どのような人生哲学、職業哲学を持って幼少期からの波乱万丈な人生を生きたかを、生々しく読み取ることができる展示となっていた。女優として数々の受賞歴を誇った大人気実力派女優という輝かしい側面の一方で、人前に出ることが実際は苦手であり、俳優業から逃げ出したいという本心との葛藤。就学さえ叶わなかったほどの多忙さと、それだけ俳優仕事をこなさなければならなかった家族からの壮絶な搾取。それでも逆境から逃げることなく乗り越え、目指したい人生に向かって毅然と自身の哲学を貫いた彼女の生き方や感性は、ストレス社会と言われる現代人こそ大いに学ぶべきところだろう。
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人生のモットーを問われ、「潔さ」と答えたという高峰秀子。映画史に刻まれる彼女の偉大な功績に触れられると共に、彼女の全生涯と、数多くの名だたる文化人、著名人に愛された稀有な人物像に迫ることのできる東京タワー大特別展「逆境を乗り越えた大女優 高峰秀子の美学」は、5月6日(月・休)まで東京タワー1F RED°TOKYO TOWER特別会場にて開催している。
内覧会後のコメント
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斎藤明美(松山善三・高峰秀子養女、文筆家)
本日3月27日は高峰の100歳の誕生日で、今年が生誕100年にあたります。今回の東京タワーでの展示会をはじめ、様々な催しを行ったり、本を出したりという記念の年に、できれば若い方にも高峰を知っていただきたく、生前の高峰に会ったことがある貴重な存在の名取さんにもご協力いただきました。
この会場では高峰のダークな面、様々に苦労した面も描きつつ、最後には幸せに過ごした高峰の全生涯を描いています。これ以上のことはできない、最初で最後の機会になっています。家にあった家具なども沢山展示しているので、大勢の方に来ていただければと思います。
名取裕子 (女優・サポーター)
高峰さんは、本当に素晴らしい映画作品の数々や著書も残されています。女優としてこれだけ実績のあるお仕事をされながら、人としての素晴らしさも伝わってくる方です。小さい頃学校に通う機会にさえ恵まれなかった中で、周りの方々からたくさんのことを吸収して自分の感性を磨き上げ、本質を見極める力をつけ、それを自分なりのスタイルとして貫ける美意識・生きざまはお見事です。
こんなにも素晴らしく、有り余るほどの宝を私たちに残して下さった稀有な方が日本にいて、苦労を乗り越えてこんな花を咲かせて幸せになられたことは、今の難しい時代にも希望を与えてくれるかなと思いますので、ぜひ多くの方にご覧いただけたらと思います。
※ 撮影:阿部章仁