従業員や家族の安全と、
事業推進に不可欠な「世界のファクト」を
株式会社共同通信デジタル リスク対策総合研究所長・小島俊郎
株式会社共同通信デジタル リスク対策総合研究所長・小島俊郎

グローバル企業にとって、海外で働く従業員やその家族の安全を守り、事業を無事に推進するためには、世界のどこで何が起きているのか、起きそうなのかをいち早く、情報として入手することが不可欠となる。共同通信社では、海外支局や提携通信社が配信した膨大なニュースをもとに、企業にとって有用な情報を「海外リスク情報」サービスとして、24時間・365日体制で速報配信している。共同通信デジタル リスク対策総合研究所 所長の小島俊郎氏は、前職の日立製作所の社長室やリスク対策部で長年にわたり、日立グループのグローバルビジネス推進と従業員、家族100万人の安全確保を支えてきた。サービス立ち上げの背景を小島氏に聞いた。

インタビュー注目ポイント
情報収集の意義
  • 正しい情報を見極める大切さ

    インターネットやSNSが発達し、さまざまな情報があふれる中で、正確な情報を見極めることがますます重要になっています。

  • フェイクニュースに惑わされないために

    誤情報が簡単に拡散される時代だからこそ、信頼できる情報源の活用が不可欠です。

  • 共同通信社による正確な速報

    信頼性の高い情報をいち早く提供し、海外でのリスクを正しく理解できるようサポートします。

  • 日々の情報チェックがカギ

    「海外リスク情報」を毎日チェックすることで、誤情報に惑わされない適切な判断力を養うことを目指します。

海外進出に伴い企業のリスク対策が不可欠に

1986年の大手商社マニラ支店長誘拐事件をはじめ、1980年代はテロ組織による誘拐やテロが目立ち、海外で邦人被害が多発していました。1990年代に入ると一層の拍車がかかり、1990年に発生した湾岸危機では日本人200人以上が人質となり、24人の日立グループ社員も含まれていました。以降毎年のように各地で邦人が巻き込まれる事件が起きる中、在ペルー日本大使館公邸占拠事件(1996年)やインドネシア暴動(1998年)のように、大人数の日本人が拘束されたり、退避を余儀なくされる衝撃的なケースも発生しました。

私が日立のリスク対策部で仕事を始めたのは1991年です。さまざまな事案の対応を思い起こしても、「グローバルな情報をいかにタイムリーに収集するか」が大きな課題でした。日立グループの拠点は広く世界に展開されていて、情報収集にはそれなりの時間が必要になります。日立製作所の従業員は当時20万人を超え、グループ会社や家族も合わせると100万人を超えます。常駐拠点や作業現場のある各国は、政情が安定している国ばかりではありません。インフラ関係の仕事、例えば発電所を建設する国は多くが新興国で、必要な情報を集めるのは簡単ではありません。

政治経済、自然災害、感染症、治安など、円滑な事業活動と日々の安全な生活のために必要な情報を全て収集するように努めます。個別プロジェクトについて集中的に情報を集める一方、日ごろからリスク対策部は、守備範囲としていた4分野(自然災害、政治紛争、犯罪行為、自己リスク)に焦点を合わせて鋭意、情報収集に注力していました。

平時からグローバルに情報をウオッチ

共同通信社が「海外リスク情報」サービスを開始すると聞いたときに、迷わずぜひ活用したいと思いました。日々、世界の情報をリアルタイムで報じている共同通信社が「企業の海外リスク」に焦点を合わせて情報配信すると聞いて、本当に心強く感じました。その後の有事対応で「海外リスク情報」に助けられたことは、事件事故の大小を問わず枚挙にいとまがありません。

世界50カ国以上に支局を置いている通信社として、企業が有事に直面したときの情報提供だけでいいのか、と考えたことが「海外リスク情報」誕生のきっかけだったと聞いています。企業に対して世界の様子を日々、リアルタイムに情報発信することが重要であり、求められていると考えたそうです。全くそのとおりで、企業は平時から情報をウオッチしていなければ、有事に正しく事態を分析して的確に判断することはできません。平時の取り組み次第で有事対応の出来が決まってしまいます。

また、「海外リスク情報」をイントラネットのホームページに載せて一般社員のアクセスを可能にすれば、社内に危機感が醸成され広く浸透することにも繋がるでしょう。

海外リスク情報のサイトイメージ
海外リスク情報のサイトイメージ
企業にとって有効な情報提供のために

絶え間なく進化し続ける情報化社会にあって、情報の真偽を見極めることが一層重要になっています。いわゆる「フェイクニュース」が簡単に拡散され得る現状を鑑みると、真偽の見極めは決して易しくありません。そこにも、共同通信社に求められる役割があると思っています。「海外リスク情報」を日々モニターすることで、誤情報を遠ざけることもできると考えています。

私が共同通信デジタルに職場を移したのは、日立グループの危機管理で30余年の活動を経た2014年です。以来情報のユーザー側から提供する側になって、「海外リスク情報」に携わっています。共同通信社や各国通信社の優秀な記者たちが24時間体制で提供する情報は、質と量、速度とも世界で最高の水準であると思います。このような情報が、引き続き企業にとって最大限に有効なものであるよう、私は提供する側とされる側の両方の目線から貢献に努めたいと願っています。

日々のリスクモニターは、危機管理担当者の重要な業務
日々のリスクモニターは、危機管理担当者の重要な業務
※本記事は「危機管理ビジネスEXPO」(運営元:リスク対策.com)に掲載されたインタビューを一部手直しをして転載したものです。
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